日本でもポピュラーな食材となったアボカド。回転寿司でのアボカド握りや、家庭でのサラダ、スープ、グラタンなど、多岐にわたるレシピで楽しまれています。しかし、アボカドが時々苦く感じられることがありますね。この苦味は、食べるのをやめたくなるほどの不快なえぐみを伴うことも。
アボカドが苦いと感じると、その原因が「腐敗」ではないかと心配することがありますが、それは一般的に誤解です。
腐敗したアボカドは、通常、酸味が強く出るため、苦味はほとんど感じられません。腐敗の兆候としては、刺激的な臭いや酸っぱい味、果肉の黒ずみや柔らかすぎる質感、液が漏れ出していることなどが挙げられます。
では、なぜ腐敗していないのにアボカドが苦いのでしょうか?その主な原因は以下の通りです。
加熱しすぎた場合:アボカドは加熱すると苦味が出やすい食品です。特に長時間または高温で加熱すると、含まれるポリフェノールが苦味を引き起こすことがあります。
皮の近くを食べた場合
熟れすぎていた場合
まだ未熟で硬かった場合
調理方法や食べるタイミングによって、アボカドが苦くなることがあるのです。次は、それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。
アボカドの丁寧な食べ方
アボカドの内側、特に皮に近い部分には、少し苦い茶色い層が存在します。この層に気づかず、スプーンで果肉を掘り出すときに、この苦い部分も一緒に取ってしまうことがよくあります。
また、包丁で皮を剥く際にも、薄く剥くほど茶色い層を残してしまうことがあります。多くの人は無意識のうちにこの苦い部分を摂取しています。
熟しすぎたアボカドの特徴
時には、購入したアボカドが柔らかすぎるほど熟してしまうことがあります。このようなアボカドを切ると、黒い点や線が現れます。
時間が経つにつれて切ったアボカドは黒くなる傾向があり、これはポリフェノールが酸化するためです。変色した部分は苦味やえぐみを増加させ、加熱するとその苦味はさらに強くなります。
未熟なアボカドの扱い
アボカドは果物として分類され、未熟な状態で食べると渋みや苦味が強く感じられます。そのため、未熟なアボカドを食べると、味が美味しくないと感じることがあります。
アボカドの苦味を減らす方法
特に子供が苦手とするアボカドの苦味を軽減する方法をご紹介します。次の4つのポイントが重要です。。
基本:加熱しすぎない
アボカドを加熱すると苦味が強くなるため、加熱時間を短くすることが効果的です。
未熟な場合:追熟を促す
未熟なアボカドは自然に熟成させることで食べやすくなります。
熟れすぎの場合:裏ごしする
熟れすぎたアボカドは裏ごしして使用すると、食感が改善されます。
最終手段:濃い味付けで調整
アボカドの苦味が気になる場合は、濃いめの味付けでカバーすることができます。
アボカドを自然に熟成させる
アボカドが十分に熟していないと、苦味が出ることがあります。このような場合、自然熟成させる「追熟」が有効です。追熟とは、収穫後に果物を自然に熟させることを指し、アボカドの場合、これにより苦味が減少し、果肉が柔らかくなる効果が期待できます。
アボカドの追熟方法
追熟の基本は、室温での保管です。理想的な室温は約20℃。この温度であれば、新聞紙に包んで保管するだけで十分です。
しかし、5℃以下の低温や、27℃を超える高温ではアボカドが傷むため、高温の場合は冷蔵庫に移し、低温の場合は暖かい場所で保管すると良いでしょう。
アボカドの追熟を促進する方法
追熟を早めたい場合は、アボカドをリンゴやバナナと一緒にビニール袋に入れて保管します。これにより、エチレンガスが発生し、追熟が促進されます。
切った後のアボカドを追熟させる方法
切ってからアボカドが未熟で苦いことに気づいた場合、追熟が可能です。切ったアボカドを皿に並べ、濡れたキッチンペーパーをかぶせて、600Wの電子レンジで1分ほど加熱します。
まだ固い場合は、20秒ずつ追加して加熱し、柔らかくなるまで調整しますが、長時間加熱すると苦味が増すため注意が必要です。
熟れ過ぎたアボカドの処理方法
熟れ過ぎて苦くなったアボカドでは、黒い筋が苦味の主な原因となります。これを取り除くには、「裏ごし」が効果的です。
裏ごし器や細かい目の金属製ザルを使用し、筋を取り除きながら滑らかな食感を得ることができます。裏ごししたアボカドはディップや冷製スープ、サラダなどに最適です。
濃厚な味付けで苦味をマスクする
アボカドの苦味が気になる場合、濃厚な味付けで調整する方法が効果的です。特にマヨネーズを使うと良いでしょう。
アボカドを裏ごしして作ったペーストにマヨネーズを混ぜると、苦味が目立たなくなり、美味しいディップができあがります。マヨネーズの濃厚な味がアボカドの苦味を上手に隠してくれます。
アボカドの適切な食べ時を見極める方法
アボカドは食べるタイミングが重要な果物です。適切な熟度で食べることが、その美味しさを最大限に引き出します。
色で熟度を判断する
アボカドの熟度は皮の色で判断できます。購入時の鮮やかな緑色はまだ未熟なサインです。熟度が進むと、緑から黒へと変化し、緑と黒の中間色、いわゆる「チョコレート色」が最も美味しい状態を示します。
それ以上に黒くなると、苦味が強くなる傾向があります。
固さで熟度を判断する
触感も熟度を判断する重要な指標です。未熟なアボカドは非常に硬いですが、適度に熟したアボカドは軽く押すと柔らかく、適度な弾力が感じられます。過度に柔らかいものは熟れ過ぎと判断できます。
苦味のないアボカドの選び方
良質なアボカドを選ぶ際は、色と触感に注目しましょう。すぐに食べたい場合は濃い緑色で黒い斑点が見られるものを選ぶと良いでしょう。
非常に黒いアボカドは熟れ過ぎの可能性が高いため、避けた方が無難です。未熟な緑色のアボカドは家で追熟させることも一つの方法です。
春から初夏にかけてがベストシーズン
日本市場でよく見かけるメキシコ産のアボカドは、春から初夏にかけてが旬です。この時期に収穫されるアボカドは脂肪分が豊富で、味がまろやかです。適切に熟していれば、苦味が少なく、非常に美味しく楽しむことができます。
アボカドの苦味の理由と対策
アボカドが苦いと感じるのは腐敗が原因であるとは限りません。苦味の主な原因は以下のとおりです。
過度な加熱
皮に近い部分まで食べてしまう
過熟
未熟で硬い
これらの問題を避けるための対処法は、加熱を控えめにする、適切に追熟させる、過熟した場合は裏ごしを利用する、濃厚な味付けで苦味をカバーするなどがあります。
アボカドの美味しさを最大限に引き出すためには、正しい食べ頃の見極めと適切な調理方法が重要です。
テレビで紹介されることもある「アボカド鍋」も面白い試みですが、個人的には生で楽しむのが最もおすすめです。